橋本環奈(26)のNHK連続テレビ小説『おむすび』は、3月28日に最終回を迎える。物語は残り8話だが、この最終盤のタイミングでまたしても視聴者からも不満の声が多く寄せられることに……。
■【画像】「『食べり』が本当イラつく」『おむすび』嫌われ主人公の物議を呼んだ超ド派手ギャル姿
【以下、『おむすび』ネタバレを含みます】
『おむすび』は、橋本演じる平成元年生まれのヒロイン・米田結が高校時代に“ギャル文化”と出会い、やがて栄養士として人の心と未来を結んでいくという“平成青春グラフィティ”作品。物語は令和を迎え、第24週(17日〜)は2023年12月が舞台となっている。
第24週では新キャラクターとして、結の病院に入院する栄養失調の身元不明の少女、田原詩(大島美優/15)が登場。詩は、結の親友で1995年に阪神・淡路大震災で亡くなった真紀ちゃん(大島の一人二役)とそっくりで——というストーリーが展開されている。
「詩は8歳で両親を亡くし、神奈川の児童養護施設で育った少女。大阪に来る途中で財布やスマホを盗まれたことで2週間飲まず食わずとなり、路上で倒れ病院に運ばれました。
詩は人生に投げやりになっていて、搬送後も頑なとして食べ物を口にしようとしないばかりか、無理やり退院しようとして看護師に止められる。そして、結も詩を説得するが失敗——といった話が18日の放送回で描かれました」(テレビ誌編集者)
結は詩に「おいしいもの食べたら、悲しいことちょっとは忘れられるけん。やけん“食べり”」とプリンを差し出し、詩も何かを感じたのか、言われるがまま2、3口ほど食べたが、「食べても、悲しいこと忘れられないんだけど……もういらない。下げて」と、不快感を示されて終わってしまう、というシーンが描かれた。
「今回に限らず、『おむすび』では結が精神的に落ち込んでいる相手に“食べり”と食事を勧めるシーンが何度もありましたが、この“食べり”というフレーズが視聴者の評判が良くなく、SNSが荒れてしまっています」(前同)
「食べり」とは、主に、身近な人や好感を持っている人に対して「食べなよー」「食べていいよ」と勧める際に用いられる福岡弁。福岡だけでなく、九州地方、群馬、長野、大阪、兵庫などでも使われるフレーズとされる。
■主人公の「食べり」が嫌われる根本的理由
「食べり」というフレーズ——『おむすび』では、結が6歳のころ、福岡県・糸島で祖母の佳代(宮崎美子/66)に「おむすび握ったと。食べり」と勧められたことが、「食べり」というフレーズを覚えたきっかけとして描かれていて、成長後も決め台詞のように使っている。
しかし、結の「食べり」には、
《「食べり」が本当イラつくな〜じぇじぇじぇ(※2013年度前期の朝ドラ『あまちゃん』のフレーズ)みたく流行語になる計算だったのかな》《管理栄養士に見せかけて、プリンメーカーの営業やったんや!そのうち「食べり!」 って言ってCM出るのかなw》《もう「食べり」て言うのやめて欲しい 福岡県民として不快 管理栄養士なら、「食べり」「食べり」言うじゃなくてどうやって食べてもらえるかのアプローチを考えて患者さんと関わるものでないの?》
といった厳しい声が多く寄せられているのだ。
「結は世話焼きな性格で、“食べり”に限らず福岡弁で話すシーンは多いんです。なのに、この最終盤で視聴者から不評が続出している背景には、これまでの積み重ねで主人公・結が視聴者から嫌われてしまっている、というところがあるでしょうね」(前出のテレビ誌編集者)
結が嫌われてしまっている理由——1つは、主人公としてあまりに未熟すぎることか。
「両親を交通事故で亡くしてふさぎ込んでいる詩に、“食べれば少しは元気になる”とプリンを渡したこともそうですが、行動に説得力が感じられないという意見が多くあります。また、キャリアのある栄養士とは思えない行動も目立つため、それも批判されています」(前同)
『おむすび』では、社会人1年目の結が社員食堂の新メニューを考えるも、スピード勝負の社食なのに調理時間を考慮に入れ忘れる、というミスをする回があった。その後、結は資格を取得し病院の管理栄養士に転職したのだが、大手コンビニチェーンの弁当づくりに協力した際に“工場で大量生産する”という前提を忘れて量産が難しい弁当を企画してしまう、という失敗を犯す。
これが社食の失敗と似た流れだったため、《理想だけじゃ無理(コストや手間が合わない)は、社食のランチであんだけ身に沁みたのに忘れたんか(笑)》など、学ばない主人公に視聴者からツッコミが相次いだ。
「そして、そういった未熟さが目立つのに、やたらと結が手柄を立てて持ち上げられるような、いわゆる“主人公アゲ”になる展開が多く、それにシラけてしまうという声も多いですね」(同
■成長物語がしっかりと描かれておらず感情移入ができない
特に病院が舞台となってからは、患者が抱えるトラブルを結(橋本)が管理栄養士として解決する、という展開が複数回描かれたため、
《主治医が怖くて言いづらいなら、気になる重要な事は看護師に言えばいいだろうに、なんで管理栄養士にってなる。 まあ、主人公アゲるための作為なんだろうが》《努力して頑張って人助けしてありがとう!って言われてああ〜よかったってなる事はあるけどこの主人公、周りに無理ばかり強制してあなたのおかげね!ってヨイショされてばかり。しかも手助けしてくれた人に感謝しないから応援も共感もできない》《嫌だったのは、震災やコロナなどのできごとを、全部「さすが米田さん」に結び付けてしまうところでした。不幸の私物化とでも言うんでしょうか。いろんな人のいろんな悲しみが全部「さすが米田さん」になっていくところは見ていて辛かったです》
といった厳しい意見が多く寄せられている。
「そして、やはり大きいのは、『おむすび』のシナリオのダイジェスト感が強すぎて、結の成長物語がしっかりと描かれていない、主人公の成長過程の描写不足というのがあるでしょう。だから、視聴者が主人公に感情移入ができていないと。
具体的には、結が管理栄養士を目指すにあたり猛勉強して合格する過程がナレーションで処理されるばかりか、いきなり勤務4年目から物語が始まるため、同僚との交流とか、新人ならではの葛藤とか、そういった主人公の成長物語に明らかに必要であろうエピソードがなかった。そのため、結の姉で“ギャル要素”も、挫折や成長もしっかり描かれている歩(仲里依紗/35)の方が主人公らしいという声が多く出るほどです」(前出のテレビ誌編集者)
そんな、主人公が好かれていない『おむすび』は、ほぼ確実に歴代朝ドラの平均視聴率ワーストを更新すると見られている。これまで歴代ワースト1位は倉科カナ(36)主演の『ウェルかめ』(2009年度後期)の世帯13.5%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)だったが、『おむすび』は3月17日放送回の時点で13.2%。今は巻き返すどころか、どこまで下がるのかが心配されている状況だ。
主人公が視聴者に受け入れられず、多くの朝ドラファンが視聴をやめてしまった『おむすび』だが、ラストくらいは高評価を得て終わってほしいが——。